小中学校の2割で「教員不足」 過度な負担も 教頭・副校長調査[毎日新聞より]♪
有識者や現役教員らでつくる団体「#教員不足をなくそう緊急アクション」は10日、公立小中学校の教頭・副校長を対象にした教員不足に関する調査結果を発表した。小中学校ともに約2割が4月時点で「教員不足が起きている」と回答し、前年4月よりも不足の状況が悪化したとみられる。中学校では、約1割が「授業が実施できない教科がある」と答えるなど、子供の学びにしわ寄せが出ている現状も明らかになった。
調査は今年4~5月、全国公立学校教頭会を通じて実施し、31都道府県の小中学校計1785校から回答を得た。「教員不足が起きている」と答えたのは、小学校で20・5%、中学校で25・4%。昨年4月時点も合わせて尋ねたところ、小学校で5・9ポイント、中学校で5・6ポイント増えていた。教員不足を巡っては文部科学省が21年度に初めて実施した実態調査で、年度当初の不足が公立小中高と特別支援学校で2558人に上ったことも明らかになっている。団体側は年度の後半になるにつれて、育児休暇などで欠けた教員を補充できず、教員不足が増加する傾向があると分析する。今回調査では、不足への対応(複数選択可)について、小学校は「学級担任でない教員を充てた」(29・8%)、「少人数指導担当などの加配の教員を充てた」(27・8%)が多く、中学校は「免許を保有する教員がおらず、授業が実施できない教科がある」と答えたのが13・1%に上った。
自由記述欄からは、子供の教育に影響が出ている実態が浮かび、「年度の始まりに担任がいなかったことや、途中で担任変更があったことで、子供が戸惑い、学級が崩れた」(小学校)や「3人に社会の臨時免許を持たせ、社会科未経験の先生が各学年に教えている」(中学校)との声があった。授業が自習となったり、2クラス合同で授業をしたりするケースもあった。
学校に残る教員に過度な負担が生じている状況も見られ、「勤務が倍増し、時間外勤務が100時間を超えた」(小学校)、「1人あたりの授業時間数が増加するなど教職員への負担が増え、働き方改革の視点からは逆行している状況になった」(中学校)といった回答が寄せられた。欠員を埋めるのは難しく、「誰でもいいわけではないが、講師の質を評価して選んでいられる状況ではない」と答えたのは、小中学校の6割以上に及んだ。
調査の呼びかけ人で、教育研究家の妹尾昌俊氏は「時間も心も体力も人員も余裕がない状況になると、(教員は)授業の質や子供との関わりの密度をセーブするしかなくなる」と指摘。「子供たちに起きている一番不幸なことで、真面目な先生であればあるほど追い詰められる」と語った。【井川加菜美】
【毎日新聞 2023/5/10 18:31(最終更新 5/10 20:39)】
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