「我が子をグローバル人材に」不安な親たち、選ばれるマレーシア留学[朝日新聞デジタルより]♪

【朝日新聞デジタル 2023年5月24日 12時00分】

 子どもに海外の教育を受けさせようという日本人が増えるなか、地理的に近く、欧米に比べて費用も安いマレーシア留学の人気が高まっている。留学を支援する現地の会社への相談は年々増えており、現在は月に数百件が寄せられているという。親の背中を押すのは、日本の将来や教育への不安だ。

今年2月、東京から1組の日本人家族がマレーシアにやってきた。5歳の娘が通うインターナショナルスクールを選ぶためだ。英語主体のプリスクールに通う娘が卒園する来春、母子で移住する計画だという。

会社を経営する父親(35)は「日本は経済が停滞し、人口減少も進んでいる。娘には世界でチャレンジできる力を身につけて欲しい」。かつて米国の大学で学んだ母親(35)は「娘には教科書通りに覚えることを重視する日本の教育ではなく、色々な価値観を持つ人と一緒に学びながら、自分を表現する力を磨いて欲しい」と話す。

マレーシアに決めた理由はまず、日本からの近さだ。飛行機で約7~8時間の距離と比較的行き来しやすく、時差も1時間しかないので日本の家族とも連絡を取りやすい。子どもに学生ビザが出ると、付き添う親にもビザが発給されることが多いのも魅力だった。

マレーシアはマレー系や中華系、インド系らが暮らす多民族国家で、英語を日常的に話す人が多い。留学支援会社のルシュエット(クアラルンプール)によると、英国式や米国式、豪州式など150を超えるインターがあり、学費は約50万~350万円という。

中村妙子代表は「欧米に比べて約3分の1の学費で優秀な学校に通わせられる。子どもをグローバル人材に育てたい、という親の願いをかなえやすい場所です」と言う。

入国規制が緩和された昨春以降、同社には渡航を待ち望んでいた日本人らからの相談が相次ぎ、ここ数年は前年比で約50%増の勢いで増えている。今年は月に数百件きているという。

九州地方の医療職の女性(41)も2月、公立小に通う11歳の娘と一緒にマレーシアを訪れた。豪州式のインターに5日間体験入学し、新年度が始まる来年1月から通うことを決めた。弟がまだ幼いため両親は日本にとどまり、単身での留学になるという。

「現実的な選択肢」

マレーシアに決めたのは、学費や物価などを考えた「現実的な選択肢」だったからだ。小学1年生の夏休みに娘が1カ月間、短期留学した豪州は費用面で手が出なかったが、マレーシアのこの学校はキャンペーン割引で、学費と寮費を合わせた年間費用は200万円弱で済む見込みだ。

女性は「出産や育児、家族の転勤で女性は人生を左右されがち。娘には私たちとは違う教育を受けさせ、選択肢を広げてあげたい」と話す。

娘の高校卒業まで、家族は別々に暮らす予定だ。英語の幼稚園やオンライン英会話などで語学力を磨いてきた娘は留学を心待ちにする。一方、女性は寂しさと同時に心配も尽きない。

それでも、「日本で波風立てずに生きるのは楽かもしれないが、自分の意見を求められる環境で学ぶことが娘のためになるはず」と信じ、留学を後押しする。

東京大学大学院の額賀美紗子教授(教育社会学・比較教育学)は「欧米や豪州だけでなく、より安価に留学を実現できる東南アジアを目指し、中間層にもここ10年ほどで教育移住が広がっている」と話す。日本の教育の現状については「子どもや親の多様な声を今の日本の学校教育で受け止めるのは不可能だ。テレワークやオンライン受験も可能になり、中学受験するような感覚で教育移住を選ぶ人は今後、増えていくだろう」とみている。(平井恵美)

【朝日新聞デジタル 2023年5月24日 12時00分】

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