「叱られないための勉強」を変えたい 大学生が考えたはなまるシール[朝日新聞デジタルより]♪

【朝日新聞デジタル 2023年4月9日 8時30分】
 日々の目標を達成すると、その成果が「はなまる」付きのレシートになって出てくる――。そんなミニプリンターを大学4年生の阿部桃香さん(21)が考案し、子どもたちが選ぶコンテストでグランプリに輝いた。古い感じもするアイデアが受けたのは、共働きの両親が珍しくなくなるなか、「根底に寂しさがあるからでは」と話す。子どもの遊びや暮らしを豊かにする発明のアイデアを競う「米百俵デジタルコンテスト」は、新潟県長岡市内の大学・高専・専門学校計20校と企業や市でつくる「ながおか・若者・しごと機構」が主催する。3回目の今回、全国から131件が寄せられ、市内の小学校3校の5、6年生計223人が投票した。阿部さんのアイデアは「はなまる屋」。宿題や家事の手伝いなど毎日がんばる目標と、両親や先生が描いたはなまるを専用のアプリにあらかじめ登録しておくと、達成したことがレシートの形でミニプリンターから出力され、はなまるが付いているというもの。シールになっていて、ノートに貼っておけば自分のがんばりをいつでも振り返ることもできる。

きっかけは在籍する長岡造形大の授業だった。子どものためにデジタルをどう活用できるかがテーマで、長岡市内の小学校から聞き取り調査をする機会があった。

面倒なことはないか児童たちに尋ねると、「学校で勉強をがんばっているのに、どうして家でもやらないといけないの?」「手伝いや勉強は叱られないためにやる」と返ってきた。そう聞いて、自主的に勉強や手伝いをしたくなるものをつくろうと思い立った。

アイデアのもとは自身の経験。アルバイト先の飲食店は、勤務の終わりに全売り上げが一覧できるレシートが出てきて、達成感を得られた。小学生の頃、テストで100点を取ると先生がはなまるを描いてくれたのがうれしくて、用紙をいつまでも取っておいた。「褒められたときのうれしい気持ちを物理的に残せるものにしよう」と決めた。

こだわったのは、誰かに褒められるのではなく、自分で自分を褒めてあげられるような仕組み。両親共働きが当たり前になってきて、宿題を見てあげられていない家庭も少なくないのでは。そう考えたときふと、「子どもたちは心のどこかで寂しさを抱えているのかな」と感じたからだ。

話し相手であり、自身の分身であるミニプリンターは、かわいらしいキャラクターに仕立てた。目標を達成できない日が続くと、いじけて「退職願」をプリントするユーモアで背中を押してくれる存在でもある。

「僕はあんまり宿題とかして褒められないから、褒めてくれるはなまる屋がいいです」「褒められるのが好きなので、シールになっていて保存できるのもいいな」。投票した子どもたちがこんな感想を寄せてくれた。コンテスト用の試作品を見た大学の友だちからは、「私も欲しい」と言ってもらえた。

「子どもたちに共感してもらえたことがとてもうれしい」と阿部さん。「今はSNSで他人からの評価にさらされる時代。自分を自分で褒めるというのは誰にとっても大切なんだな」と感じる。

就職活動が終わり、時間ができた。製品化に向けて挑戦してみたいと考えている。(白石和之)

朝日新聞デジタル 2023年4月9日 8時30分

<< 鹿児島市の英会話スクール CGC (Cross Globe Community) >>

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です