重い悩みを抱える子どもに、周りの大人ができること 医師に聞く心得[朝日新聞デジタルより]♪

【朝日新聞デジタル 2023年4月3日 7時00分】
 2022年に自殺した小中高校生が514人いたと国が発表しました。悩みを抱える子どもたちに、大人ができることはどんなことでしょうか。国立成育医療研究センターこころの診療部児童・思春期リエゾン診療科の田中恭子部長に聞きました。
子どもたちが悩んでいるとき、親や先生など身近な人の対応はもちろん大事ですが、ふだん接している人以外に、地域社会などで接点のある人の対応も大切です。どうしても親や先生には話せないことや話しにくい環境にいることもあるので、「しんどい時に、この人になら話せる」という大人が一人でも多いほうが、その子にとってはいいでしょう。緊急性が高く、早く医療機関を受診した方がいいケースもあれば、そうでない場合もあるでしょう。また、その子にとって親や学校の先生が頼れる場合も、逆の場合もあります。いずれにせよ、その子にとって、何かを最初に打ち明けようとした大人があなたならば、あなたの姿勢が子どもに与える影響は大きいのです。「よく話してくれたね」必要なのは、Tell(誠実な態度で話しかける)、Ask(自殺についてはっきりと尋ねる)、Listen(相手の訴えを傾聴する)、Keep safe(安全を確保する)という「TALKの原則」です。まず、「よく話してくれたね」とたたえて、話をさえぎらず、話の内容を否定せずに共感しながら聞き役に徹し、その子の長所を見つけてほめ、「よくがんばってるね」とねぎらう。例えばリストカットをしていたり、ご飯が食べられなくて摂食障害になっている場合、「そんなことはやめて」「食べなさい」と言ったりその子の姿勢を否定したりせずに、その子の頑張りをねぎらっているうちに、その子にとって視界が開けるかもしれません。どの子どもも本来、成長するというベクトルを持っているからです。

その子とたまに顔を合わせて話す程度の関係であったとしても、こうした心得がありさえすれば、多くの大人ができることだと思います。

対等な関係で歩む

学校や家庭で様々な重圧とストレスにさらされている子も多くいます。子ども個人の頑張りでは対応しきれないことも少なくありません。子どもは環境により大きく影響を受ける存在ですので、あえて「あなたのせいじゃない」「あなたは悪くないよ」と本人に伝えるのも、とても大事です。

子どもにとって信頼できる大人であるためには、過酷な状況を生き抜いてきた一人の勇気ある人としてその子を見て、対等に歩んでいくことが必要だと思います。(聞き手・田渕紫織)

朝日新聞デジタル 2023年4月3日 7時00分
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